今週の1冊『死刑について私たちが知っておくべきこと』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

今週の1冊『死刑について私たちが知っておくべきこと』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

図書館 お知らせ・近況

今週の1冊『死刑について私たちが知っておくべきこと』

2025年6月23日

2025年6月23
『死刑について私たちが知っておくべきこと』 丸山弘著 ちくまプリマ―新書
私たちは、死刑について何を、どれくらい知っているのでしょうか。世界では死刑制度を廃止、またはあってもストップさせている国が増えている中、日本には死刑制度があり、実際に執行もされています。世論では、8割程度がこの制度を支持している、と報道もされます。ですが、どの程度の人たちが死刑制度の歴史や、実際の執行現場について、また世界的な潮流を知った上で「死刑存置(賛成)」「死刑廃止(反対)」を唱えているのか、というところに著者は問題意識を持っています。この本は、そうした議論の下敷きになるような知識を得るために、最適な一冊です。決して賛成、反対のいずれかを強調するのではなく、どちらにしてもどのような議論が展開されているのかを説得力をもって示します。特に興味深かったのは抑止論についてです。死刑制度があることで凶悪犯罪の発生を抑止できる、という議論がありますが、他国では死刑制度があることとないことが犯罪発生率に優位には関係していないことがうかがえるデータが出ています。また、先ほどの世論調査にも関係する研究では、死刑についての知識を得た人ほど(賛成か反対か)わからない、と、ある意味グレーな答えを選ぶそうです。私は、著者である丸山さんのYouTube番組「丸ちゃん教授のツミナハナシ」のファンなのですが、最高学部で法学を教えてくださっている南口さんとの掛け合いも絶妙で、刑事政策を一般の人にわかりやすく伝えたい!という情熱を感じていました。この本もまさに、そうしたアウトプットの一つとなっています。

 

 

 
  図書館・資料室のご利用 についてはこちら

カテゴリー

月別アーカイブ