現在建設中の木造の「自由学園みらいかん」は、自由学園の代々の生徒・学生が苗を植え、手入れをして育ててきた三重県の海山植林地のヒノキを使って工事が進んでいます。これまでも、自由学園の生徒・学生が植林した材は、ベンチや教室の机・椅子、最高学部棟食堂や、JIYUアフタースクールの部屋の床板張りなどに使用されてきましたが、今回の「自由学園みらいかん」の建築で、初めて柱を始めとして建築物そのものに使用されることになりました。
※6月24日現在の建築現場の様子を「みらいかん」のブログでご紹介しています。こちらをご覧ください。
■自由学園の植林 長年の夢が実現に向かう
自由学園では、三重県海山、埼玉県名栗、栃木県黒羽で植林活動をしてきました。最高学部生、男子部高等科2年生は、植林地で苗を植えた後、毎年山小屋に泊まりがけで行き、よい木に育つよう下刈り(苗の周囲の草刈り)、節をなくすための枝打ち、間伐(間引き)などの作業をしてきました。なお、国内での植林の経験を活かし、最高学部では、1990年からは、燃料確保のために木の伐採が進み森林資源が枯渇したネパールで、住民と共に植林をして森をよみがえらせる活動を開始し、毎夏学生有志がネパールを訪れています。
1950年(昭和25年)に男子部が名栗で植林を始めた時、自由学園の創立者の一人羽仁吉一は、「木が育つには数十年がかかる。将来この木で校舎を建てよう。」と語りました。その長年の夢がいよいよ実現しようとしています。
海山植林地 小屋は初期の学生が建てたもの 長期休み中に男子学生が交代で行き、作業をして木を育ててきた(2016年)
間伐前のヒノキ 小屋の上方の道の両脇から「みらいかん」に使用する木を切り出す 1970年に植えた木(2016年)
名栗植林地での作業 木を切り出して運ぶための道作り(2012年)
搬出作業 間伐した材を運び出す男子部生(2012年)