7月30日(土)みんなの日/「みんなの日」の様子 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

7月30日(土)みんなの日/「みんなの日」の様子 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

「みんなの日」の様子

7月30日(土)みんなの日

2022年8月22日

7月30日(土)はコロナ感染第7波が急拡大している中、できるだけの注意を払い、またLA生の責任ある行動を信頼して、7月の「みんなの日」を決行。LA生105名(午後は80名)が最高学部食堂に集まり、オンラインで自宅から参加のLA生もいた。

はじめに、石川リーダーの司会で礼拝が行われ、讃美歌276番「神はわがやぐら」をコロナ感染を考慮して小声で賛美した。  

<「忘れられない人々」2期生・森 義一さん>

「みんなの日」恒例の「忘れられない人々」では、2期生の森義一さんが、「この人と特定できる人が思いつかないので、現役時代の2つの職場について」をお話しされた。

1966年4月に設立2年目の㈱ソフトウェアハウスに就職した私は、入社後すぐに日本電気コンピューター部門プログラム開発部に派遣された。私は技術計算グループに配属されて、FORTRANというプログラミング言語を使ったプログラム開発を行い、技術だけでなく、チームで仕事を行うことを学んだ。

1981年10月からは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の前身NASDA(宇宙開発事業団)の飛行安全管理室に出向した。飛行安全は高い信頼性が求められ、システムの開発や運用はもとより、事前の設計審査、運用中に出た不具合や運用ミスの原因調査と再発防止対策が求められた。 以上2つの職場には、それぞれ5年ずつ在籍したのだが、そこで得られた経験や人間関係がその後の業務を行う上での貴重な財産となった。

<教養講座 『ウクライナ危機~ロシアの外交戦略と国際社会』廣瀬陽子教授>要約

今年度第3回の教養講座は、本年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、特にお忙しい日々を過ごしておられる慶応義塾大学総合政策学部の廣瀬陽子教授に『ウクライナ危機~ロシアの外交戦略と国際社会』と題して、現在世界から注目されているウクライナ情勢についてのお話しを伺った。

1)NATOの東方拡大とロシアの孤立

2022年2月24日にウクライナにロシアが軍事侵攻することで始まったこの戦争は、まったく論理的に説明のできない無意味な戦争であり、いまだに着地点が見えず長期化の様相を呈している。はじめに、ロシア、プーチン大統領がウクライナに固執する背景を探っておきたい。

冷戦時代にNATO(北大西洋条約機構)に対峙していたWTO(ワルシャワ条約機構)は、ベルリンの壁崩壊後の1989年ゴルバチョフ・ブッシュ両大統領による冷戦の終結宣言、その後バルト三国などの独立の要求を前にして1991年にソビエト連邦が崩壊することで、その歴史的な役割を終えることとなる。その後、旧ソ連以外のWTO加盟国は2009年までに、またバルト三国も2004年までにNATOに加盟することで、NATOの東方拡大が進むこととなった。NATOの東方拡大に反対していたロシアにとっては皮肉なことにロシアのウクライナ侵攻が引き金となって、今まで中立的な立場をとっていたフィンランド、スウェーデンさえも加盟の手続きに入ることで、ロシアの孤立はますます進むことになってしまった。

これまでNATOとロシアの間に位置するウクライナは、ロシアと多くの歴史を共有し、民族的近接性があることに加えて、両者の間の緩衝地帯としての役割を果たしてきただけに、もしウクライナまでがNATOに加盟するとなると、ロシアのすぐ近くまでNATOの軍備も配置できることとなり、そのことはロシア側、特にプーチンにとって決して認めることができないことであった。

2)地政学的思考とハイブリッド戦争

ロシアの軍事支出は、世界で米国・中国・インド・英国に次ぐ5番目で、2021年には米国の軍事支出が8,010億ドルに対して、ロシアは659億ドルと米国の約8%の額となっている。このような通常兵器の弱さをカバーするために最終兵器としての核能力の拡充に力を入れている。

軍事面でのこのような背景に立って、プーチンのブレインの一人である地政学者アレクサンドル・ドゥーギンは「ロシアの政治的目的達成のためには、軍事力の役割は比較的小さく、むしろ特殊機関による破壊、不安定化、誤報・偽情報の洗練されたプログラムが果たす役割が大きく、他国に攻撃や圧力を仕掛けるためにはロシアの天然ガス、石油、天然資源などの強固かつ有効な活用が望まれる」と述べている。

一方で、ロシアだけでなく中国や欧米でも、政治的目的を達成するために、軍事的脅迫とそれ以外の様々な手段[政治、経済、外交、サバイバー攻撃、プロパガンダを含む情報・心理戦などのツールのほか、テロや犯罪行為も]が組み合わされた、非正規戦と正規戦を組み合せた現代型戦争としての「ハイブリッド戦争」が戦争の手法に取り入れられるようになった。

ハイブリッド戦争は、一般的に主に「非正規戦」的手段であるサイバー攻撃、情報戦・宣伝戦、制裁、マスク外交、ワクチン外交、難民テロなどによるフェーズ1からはじまり、それがエスカレートすると軍事的脅迫(軍の展開、PMCの展開など)によるフェーズ2に発展し、それがさらにエスカレートすると「正規戦」手段である正規軍による軍事的戦闘によるフェーズ3に至るとされている。

3)ロシアのレッドラインとウクライナ侵攻

2021年は、「レッドライン」が国際政治のさまざまな文脈で用いられ、外交・軍事の領域における「レッドライン」とは相手国に対して「この一線を越えてはならないが、万一越えた場合にはただでは済まされない」と宣言する意味をもつ。

ロシアは「ウクライナ(また旧ソ連諸国)のNATOへの正式加盟」「米国や他のNATO加盟国がロシアの近隣国に強力な軍備を行わないという法的保障」「NATO軍の存在・訓練、武器・兵器の移転、領土の使用を含む、ウクライナとの軍事協力」をレッドラインとした「安全保障に関する条約」の草案を作成し、2021月12年に米国とNATOに対して送付していた。

このような中で行われたロシアのウクライナ侵攻は、何のメリットもない戦争であり、論理的に説明できるものではない。今のところプーチン大統領の被害妄想を基盤とした妄執、勝手な歴史観、プライドにしか原因を見出すことができない。

戦争突入後のロシアの要求は「ウクライナの非武装化・中立化・クリミアへのロシアの主権を認めること、ウクライナ東部2州の独立を認めること」になっている。

4)長期化する戦争における課題

戦争が進行する中で、ロシアにとってはウクライナ侵攻の目的とは悉く逆行する現実が待ち構えていた。①NATOの東方拡大阻止については、フィンランド、スウェーデンのNATO加盟申請により北方拡大が確実になり、②ウクライナをロシアの勢力圏に引き戻すことについては、ウクライナ国民の反ロシア意識の悪化を招き、軍事的に制圧しても反乱の継続が予測されるようになり、③ロシアの影響圏の確保については、旧ソ連諸国がロシアを完全に軽視する事態になっている。

ロシアは当初の予想より戦争が大幅に長期化している中で、これまではチェチェンなど地方出身の兵士で前線の組織をし、モスクワやサンクトペテルブルグ出身の兵士を前線に送ることは極力避けてきた。それは中心部出身の戦死者を出すことでウクライナ侵攻に反対する動きが国内に起きることを阻止するためであった。このことからロシアは兵力を増強しなければならないが「国民総動員令」を出せないでいる。

一方で、ロシアのウクライナ侵攻を非難し制裁を強めている国際社会にとっては、①エネルギーの価格高騰が進み、特にロシアの天然ガス・石油依存のレベルが高い欧州では深刻な社会問題となっている。エネルギー価格高騰によって世界規模のインフレを招くことが恐れられている。また②世界の小麦の3割を供給してきたウクライナからの輸出が滞ることで起きている食糧危機では、その被害を受けている中東やアフリカから「食糧危機の責任は欧米にある」との主張も起きている。ロシアへの様々な制裁は、制裁を科す国にも火の粉がかかってくることを覚悟しなければならない一面があり、国際社会が一枚岩になることを妨げている。

5)新しい世界秩序と日本の役割

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや海洋進出を加速させる中国を念頭に、バイデン大統領がことあるごとに強調するのが「民主主義と専制主義との戦い」という構図である。しかし、国連総会でのロシア非難決議ではロシアのほかベラルーシ、北朝鮮など5か国が反対しただけでなく、中国、インドやアフリカ諸国など35か国が棄権にまわり、それがロシア制裁の抜け穴にもなっている。このことから、二項対立の間に存在するグレーゾーンの第三極の存在が大きくなることが考えられる。

一方、ロシア侵攻によって傷ついているウクライナには史上類を見ない国際協調による支援が行われている。そして今後再び今回のような戦争を事前に抑止するためには、さらなる国際協調が必要であり、具体的には国連改革と戦争犯罪を立証・処罰する仕組み作りが期待されている。

今後、日本が出来ることとして、今行われているロシアへの制裁とウクライナ難民の受け入れを継続すること、そして終戦後には地雷除去や、戦後や震災後に行った復興の経験を活かしてウクライナの復興に協力することができるのではないだろうか。

講演後休憩を挟んで、LA生から出された質問に対して、限られた時間の中で丁寧に答えて下さった。答えていただいた内容については、できる範囲で上記の講演記録の中に入れさせていただいた。

教養講座終了後、LA賛歌をピアノ伴奏に合わせて小声で歌った。

<諸報告>

① 創立100周年記念スクールシンボルプロジェクト・アンケート協力のお願い

創立100周年記念事業として、「自由学園の木・花・鳥等」スクールシンボル選定プロジェクトがスタート。LA生の皆様にもアンケートへのご協力をお願いします。詳しくは、以下のページをご覧ください。https://www.jiyu.ac.jp/blog/envir/80783

② 9月の「みんなの日」の午後の集いについて(予告)

次回の「みんなの日」の午後の集いは、6月の「みんなの日」に行われたパネルディスカッション「今の社会は子供にやさしいか」を元に家族ごとにこの問題についての話し合いを行います。皆様にお配りしたパネルディスカッションの参考資料をもとに、各自で考えてきてくださるようにお願いします。

③「JIYU1123」開催とLA祭について

創立100周年を記念して、11月23日(祝)に日頃からお世話になっている方々をお招きし、秋のキャンパスを楽しいでいただくことを目的として、「JIYU1123」と題する催しを開催することになりました。11月12日に予定しているLA祭を同じ11月23日に移動することの検討を始めています。会場のことや準備の日程など協力委員会と相談の上、次回の「みんなの日」までに決定したいと思います。

報告後、昼食の準備をするD,E家族以外のLA生は食堂の外に出たり、階段を上って見晴らしの良い4階まで上がったりして、それぞれ思い思いに体を動かした。

<昼食・自己紹介> 

昼食は、最高学部食堂で長机2つをつけ四角にして、それを8人で囲んでいただいた。メニューは、ご飯(ごま塩)、タンドリーチキン、茄子のさっぱり煮、キャベツ・きゅうり・ミョウガ・しその即席漬け。ミョウガ・しそは、LAの畑で獲れたものを使った。

食糧部スタッフから食事作りの報告があった。昼食を食べ終わってから、4月に入学した7期生(6名)の3回目の自己紹介を聞いた。

<午後の集い:口腔ケアについて~予防の第一歩は知ることから~ 根間英人歯科医師>

13時半からの午後の集いでは、協力委員会の企画で、西東京市で開業しておられるねま歯科医院の根間英人医師から「口腔ケアについて~予防の第一歩は知ることから~」と題してお話を伺った。

1)歯と歯茎の構造、2)歯と歯列の形態・機能、3)咀嚼と嚥下 ☆舌体操、4)虫歯・歯周病 歯垢について ☆ブラッシング、5)唾液について ☆舌回し、6)治療について→対症療法と原因療法 の順番に実例をスライドで紹介しながら、2時間をかけてお話しされた。

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