【社会】大和リース全社員向け環境講演会/環境文化創造センター - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

【社会】大和リース全社員向け環境講演会/環境文化創造センター - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

環境文化創造センター

【社会】大和リース全社員向け環境講演会

2020年3月15日

1月31日(金),大和リース株式会社東京本店にて,TV会議を用いた全社員(約2,400名)向けの「生物多様性の取り組み」に関する環境講演会を行ってまいりました.次のような交流の一環で行ったものです.

「すべての子どもたちに学校菜園を」という世界的な活動をされている方をお招きしての会[1]で,大和リースの森田社長と高橋学園長の席が隣り合いまして,農業用の簡易観測装置を寄贈してくださるということになりました.折角,観測データの通信機能がありますので,学園の名栗植林地で使えないだろうかということになり,ご寄贈いただき[2],定点観測カメラに早速シカが移り,初等部生にも大いに関心を持ってもらいました.昨年10月の近隣の大和リースの商業施設「フレスポひばりが丘」のオープニングセレモニーでは,ポーランドの交換留学生がコーラスを披露し[3],2月には,東久留米担当の方々が大学部1年生のキャリアデザイン講座でお話ししてくださるなど,交流が続いております.

それに加え,お引き受けしたのにはeco検定(環境社会検定試験,東京商工会議所)のご縁があります.大和リースは,全社員の約9割がeco検定合格者で,環境教育による学びを事業所や個人単位での地域・社会貢献活動に活かしていることが評価され,「eco検定アワード2019」大賞を受賞されました.私は2006年第1回目の合格者で,テキスト作りにも絡んでおりました(当時は,公共工事の入札要件になることを考えていたと思います).

今回は,全事業所が参加して行う「生物多様性の取組み」コンクールのアドバイスを兼ねるということになりましたので,それならばと,自由学園が関与している向山緑地の保全活動を「関東・水と緑のネットワーク百選」に選定して頂きお世話になっている(公財)日本生態系協会の堂本泰章理事にお願いしご一緒にやらせていただきました.

最初に,私からは,今回の経緯と自由学園の紹介,地元東久留米市で生物多様性地域戦略を策定したことなどを紹介いたしました.

生物多様性地域戦略のポイントは,「水と緑と土が一体となった生きものが生息できる環境づくり」です.その考え方は,「生物多様性条約」のベースとなった「国連生物多様性保全戦略」にも書かれています.地域開発で生物多様性を考えるにあたっては,その土地の履歴をおさえることが極めて大事である旨お話いたしました.

そのような履歴を踏まえ,開発にあたっては,部分・短期最適ではないか,全体・長期最適かどうかをチェックし,短期的にはWin/Winでも維持可能でなければNo dealにします.リオ宣言(1992)の第4原則「環境保護は,開発過程の不可欠の要件として組み込まれるべきであり,切り離すことのできないものである」は,その後の開発に大きな影響を与え,日本でも2001年改正都市計画法で,「整備,開発又は保全」から「整備,開発及び保全」に変更されていることなどをお話しました.

堂本理事からは,「生物多様性の保全と安全・安心なまちづくり」について具体的な例をあげながらご講演いただきました.

各事業所では,まず生物多様性国家戦略の「5つの基本戦略」[4]の関わりの確認,SDGsでは生物多様性に関わるものが広範囲に設定されているので,Goal 14・15海と陸の生態系、Goal 6・13水と気候変動など,生物圏の下支えの部分をきちんと意識して取り組んでほしいこと.それらを押さえて,さらに各地域において環境基本計画や生物多様性地域戦略を策定しているので,内容を読み込むこと,周りの環境がどうなっているか,地域で何が求められているか,自然のネットワークや防災・減災とのつながりを考え,自治体・地域の現場の方とコミュニケーションをとり,意見を取り入れて活動を決めてくださいとお話がありました.

講演会後半では,全国の事業所から中間報告をいただいた中の8テーマに関し,TV会議方式で現地と直接お話ししながら,講師陣からアドバイスを行いました.

 

自由学園の川上・川下工程をカバーする「木の学び」の説明

 

(*)

[1[ https://www.jiyu.ac.jp/blog/info/66842

[2] https://www.jiyu.ac.jp/blog/info/69490

[3] https://www.jiyu.ac.jp/blog/info/71234

[4] 5つの基本戦略

(1) 生物多様性を社会に浸透させる

(2) 地域における人と自然の関係を見直し・再構築する

(3) 森・里・川・海のつながりを確保する

(4) 地球規模の視野を持って行動する

(5) 科学的基盤を強化し,政策に結びつける

 

文:杉原弘恭(環境文化創造センター長・東久留米市環境審議会会長)

写真:大和リース株式会社

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