【地域】「向山緑地・立野川勉強会」が第32回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞/環境文化創造センター - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

【地域】「向山緑地・立野川勉強会」が第32回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞/環境文化創造センター - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

環境文化創造センター

【地域】「向山緑地・立野川勉強会」が第32回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞

2022年4月2日

自由学園・南沢キャンパスの中を流れる立野川の最上流にあたる、向山緑地・立野川源流域(東久留米市南沢)は、水源を囲む北向きの縁崖林が台地面の林につながる、水源を守る場所として、旧石器時代(向山遺跡)から近年(農家の共有地)に至るまで、人々の生活の場として利用され、大切に守られてきました。現在でも在来の野生植物が多く生育しています。

東久留米市は、2008年に「平成の名水百選」に選ばれた落合川と南沢湧水群が流れるまちですが、2011年に「湧水・清流保全都市宣言」で、立野川も東久留米市を代表する重要な川であると位置づけられました。
自由学園が団体会員として参加している「向山緑地・立野川勉強会」は、その豊かな自然環境を維持・保全して いくために2012 年に発足し、東久留米市とボランティア協定を結んでいます。月に1度の活動日では、自然観察を行い、緑地内の自然について皆で勉強し、保全活動に取り組んでいます。

 今回、「向山緑地・立野川勉強会」は、第32回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞しました。2021年9月に「第32回全国『みどりの愛護』のつどい」にて表彰式が行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から神奈川県での式典が取りやめになり、12月16日に東久留米市役所に、向山緑地・立野川勉強会のメンバーが表敬訪問しました。市長から祝辞とともに感謝状が授与されました。(リンク①)。この表彰は、「みどりの日」の制定の趣旨を踏まえ、花と緑の愛護に顕著な功績のあった民間団体を表彰するもので、今回は110団体が表彰されました(リンク②)。

 

東久留米市長、副市長と向山緑地・立野川勉強会の記念撮影(2021年12月16日撮影)

 

岸代表の挨拶

 

 「向山緑地・立野川勉強会」代表・岸昭一氏が、設立以来を振り返って挨拶され、その後、市長、副市長とともに懇談の時間をもち、参加者のそれぞれの立場から感想・希望が述べられました。

 岸代表からは「勉強会の名前は、向山緑地を自然観察等を通じ勉強していこうと考え、地域学講座を通じ保全活動と地域の学習を目指してやってきました」と会の始まりの話から、「どのような公園にしていきたいのか意見を出し合い、まずは散策路を整備し、豊かな自然環境、湧水の源流域を広く市民に知ってもらい楽しんでいただこうと、一番危険な中央階段の土留め作業から始めました」と活動の様子についての説明がありました。
(岸昭一代表の挨拶全文は、こちら

 なお、これらの活動と向山緑地の環境が評価されたことで、向山緑地・立野川源流域と向山緑地・立野川勉強会は2013年に日本生態系協会等による「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選定されています(リンク③)。

 

「向山緑地・立野川勉強会」活動日のようす
(2021年8月28日撮影)

 

「向山緑地・立野川勉強会」活動日のようす
(2021年10月30日撮影)

 

向山緑地・立野川勉強会と自由学園のあゆみ 

2009年 自由学園による向山緑地調査開始
2011年 湧水・清流保全都市宣言
     向山地域講座「向山緑地と立野川に始まる地域学―隠れた名所にご案内」
2012年 向山緑地・立野川勉強会発足(自由学園は団体会員、市とボランティア協定)
2013年 「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選定

 

 自由学園南沢キャンパス内を流れる立野川の水源地の向山緑地・立野川源流域は、学園生活の原点として在学中に勉強の中で一度は訪れるところです。最高学部では、2009年度からの継続観察と、卒業研究の一環として市民の方々と水源地と縁崖林の保全活動に取り組んでいます。2011年度には、卒業研究(テーマ別グループ研究「自然の理解と創造」)の学生も参加し企画実施した、東久留米市南部地域センターでの地域学講座「向山緑地と立野川に始まる地域学―隠れた名所にご案内」が始まりで、その参加者が中心となって「向山緑地・立野川勉強会」が発足しました。

 向山緑地・立野川源流域の景観はこの地域の参照地であり、さらに下流に位置する自由学園にとっても参照地です。勉強会発足以降も、最高学部の学生や教員が会の一員として、そして卒業した学生も社会人として、地域の方々と一緒に向山緑地の自然環境について学びつつ、保全活動に取り組んでいます。(リンク④)。

 

北側からみた向山緑地・立野川源流域( 2021年11月19日撮影)

 

 2019年度から森林環境譲与税を充当した東久留米市向山緑地若返り事業が5ヶ年計画で行われています。樹木の萌芽更新が燃料革命によってなされなくなり、樹木が高木化し、落枝倒木が心配されるようになりました。約60年ぶりの高木剪定と伐採による緑地の若返り事業が行われています。
若返り事業初年度(令和元年度)には落ち葉の問題等から住宅側と公園の東側、令和2年度にはナラ枯れが出たことで該当する樹木と北側農地に陰を落とす樹木、3年目となる今年度も住宅側と農地側の強剪定と枯れ木の伐採等が予定されています。

 ナラ枯れは関東では2017年に神奈川県、2019年には東京都で被害が報告されており、向山緑地では2020年8月に発生を確認しました。東久留米市内や近隣市町村でも被害が拡大しており、向山緑地のコナラや、クヌギ、シラカシに被害が及ぶため、対策が求められています。東京大学田無演習林に指導とご協力をいただき、多摩六都科学館にも標本を展示していただく予定です。

 「向山緑地・立野川勉強会」は先述の、2011年の地域学講座「向山緑地と立野川に始まる地域学」から始まりました。立野川源流域から始まり、下流の自由学園を通って落合川との合流点までの全体を考え、さらに周辺の地域を考えることで環境保全教育の波が広がるよう、勉強会の一員、大きくは市民の一員として活動にあたっています。

 

文・写真:柏木めぐみ(最高学部・環境文化創造センター)

 

関連リンク
① 東久留米市ホームページ
② 第32回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰 受賞団体
③「向山緑地・立野川源流域」が「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選ばれました
④ 向山緑地・立野川源流域から始める教育研究

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