自由学園は今年も全国水環境マップ実行委員会主催の「身近な水環境の全国一斉調査」に参加しました.過去18年(回)に渡り,校内を流れる立野川と,東久留米市内の「落合川と南沢湧水群(平成の名水百選)」周辺の16地点を担当して来ています.東久留米市での調査についてはこちら
今年度は,初めての試みとして,その範囲を埼玉県の飯能市周辺に拡大しました.自由学園は1950年に名栗植林地(飯能市との分収林)を開設し,以来植林・育林活動を行なって来ました(その他にも2015年から同地域の「新名栗フィールド」でも明るい里山づくりを目指した活動を行なっています).現在は2019年に飯能市と締結した「森林整備協定」に基づき,荒川流域の「水源の森づくり」として,保安林でもある分収林の管理を担っています.そうした協定の一環で,環境文化創造センターが中心となり,2021年から飯能・名栗地域の水環境(河川・湧水の水質・流量ほか)の広域・多地点での継続的な調査に着手しました.今回は定期的な調査に合わせて,「身近な水環境の全国一斉調査」への参加を申し込み,提供された試薬によりCOD(化学的酸素要求量)を測定し,水温などと合わせて結果を報告することにしました.
調査は6月7日(火)に,水文・気象観測室の学生も参加して合計22地点(図-1)で実施しました.調査地点は荒川水系入間川上流部,高麗川中・上流部,横瀬川中・上流部のそれぞれ主要地点と,主要支川の流末(最下流)に設定しました.自治体では飯能市を中心に横瀬町,日高市,東京都青梅市の一部に跨る範囲です.当日,関東地方は既に梅雨入りしており,調査前日もまとまった降雨があったため,普段より流量が増加し濁りが見られる状況でした.こうした場合,通常有機汚濁系の流入負荷(汚れ)があった場合でも希釈される傾向にあり,汚濁の有無を確認するCODを測定するタイミングとしては不向きですが,今回は6月5日の調査基準日に近い日を優先し実施しました.結果については,図-1の通りCODは一様に低値を示し,各地点間の水質差は見られませんでした(いずれも清浄という傾向).
今夏以降,継続的に実施している調査については結果を取りまとめ公表して行く計画です.そうしたデータも踏まえ,荒川流域の水源の森づくりの在り方を検討していきます.
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文・写真:吉川 慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)
小田 幸子(環境文化創造センター次長・最高学部教員)