自由学園は今年も全国水環境マップ実行委員会主催の「身近な水環境の全国一斉調査」に参加しました.本調査は年に一度,6月の「世界環境デー」を基準日に,市民参加により統一的な方法で河川・湖沼等の水質調査等を実施するものです.自由学園は調査が全国規模になった2004年の第1回以降,19年連続での参加となりました.毎年の調査報告書では「継続調査参加団体(皆勤賞)」として,学校名を挙げていただいています.
2021年は4月29日〜8月9日までの期間に全国5,433地点で646団体(個人参加を含む)が調査を実施しています.コロナ渦で大きく参加が落ち込んだ前年(2019年度は全国3,802地点で577団体)に比べて増加しました.その内学園は校内を流れる立野川と,東久留米市内の「落合川と南沢湧水群(平成の名水百選)」周辺の16地点を担当しています.
調査は例年,男子部高等科1年生の「自治区域」場所の一つである「川管理グループ」の現役メンバーをはじめ,川管理グループを経験した高等科2,3年生の生徒や,3回以上参加しているベテランの最高学部の学生,総勢15人程で実施しています.2021年は緊急事態宣言や雨天により再々度延期し,例年より1ヶ月遅れて7月10日(土)の実施となりましたが,今年度は予定通り6月4日(土)に実施することができました.
調査項目は生活排水など有機汚濁系の指標である,COD(化学的酸素要求量)のパックテスト(試薬)による測定を基本に,水温や現地の様子などを記録します.これに加えて学園担当地点を含む「新河岸川水系」全体での取り組みとして,pH,電気伝導率,アンモニウム態窒素,亜硝酸態窒素等の測定も実施しています.
学園担当地点の結果については,図-1に代表値であるCODの値を示しました.一般的に0や2mg/Lなど値が小さい程,「清浄」であると言えます.今回は一様に低値を示しました.なお地図には南沢キャンパスの範囲と,GPSにより取得した当日の調査ルートも重ねています.
近年,立野川を含む落合川水系については長年の行政・市民の方々の努力により有機汚濁系の汚染は減少し,既にCODでは16地点で測定を実施しても顕著な差が見えずらくなって来ています(以前は地点ごとの汚染の程度が明確でした).こうした落合川水系の水質改善の変遷は,来年度調査が20年目を迎えることから生徒・学生と共に整理をしていきたいと考えています.
なお,今年度は自由学園が長年「水源の森づくり」を行っている埼玉県飯能市の名栗植林地周辺の河川に対象範囲を拡げて行いました。詳しくはこちら
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参考ページ(外部サイト)
身近な水環境の全国一斉調査(全国水環境マップ実行委員会)
平成の名水百選・落合川と南沢湧水群(東久留米市)
写真:小田 幸子(環境文化創造センター次長・最高学部教員)
文・写真:吉川 慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)