自由学園名栗植林地では、飯能市との森林整備協定に基づく教育・研究フィールドへの転換を目的に、2020年7月から林内の環境モニタリングとして、水文・気象観測機器の設置と観測に順次着手しました。この程、現場の仕様に合わせてオーダーしていた雨量計が納品され、7月10日に水文・気象観測室の学生で以前から用意してあった架台に取り付け、観測を開始しました。今回の雨量計は、産学連携協定を締結しているフィールドプロ社との共同研究の一環で導入し、通常の観測(記録)の他、最新の通信規格を利用した山間部からの伝送試験を兼ねられるようになっています。これにより2年間を要した飯能・名栗地域での当座の基本的な観測機器整備が完了し、本格的な運用段階に入りました。


名栗植林地内の設置場所は、多様な地形に合わせて、次の5地点です。①以前に観測が行われていたスギ林内(斜面)の旧百葉箱地点、2021年3月に完成した森林作業道に沿って、②二次林の尾根筋(メイン観測所)、③スギ林の谷筋上流、④スギ林の尾根筋、⑤二次林の谷筋最下流(流出量観測用ダム設置)です。機器は温湿度計を基本に、②と④には雨量計、⑤には水位計を設置し、10分に一度、1日当たり144回、自動で観測(記録)しています。いずれも安価ながら一定の精度がある汎用製品を組み合わせています。





今後は安定的なデータの取得のための保守点検に務めていきます。また蓄積されたデータの分析に着手し、名栗植林地(正丸峠)地点の気象的・気候的な特徴を、同じ飯能市内の観測地点をはじめ、南沢など他の地域との比較により明らかにしていきます。そうした情報は、今後、学園・地域での各種教育・研究への活用はもちろんのこと、環境文化創造センターで計画しているオリジナルテキストにも情報として活かして計画いく計画です。
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文・写真:吉川慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)